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    「どうでした」

    自動車が動き出した時、練吉は唇のはしをびりびりさせ、あの切れ目の顔に何かしら水をかけられたやうな表情になりながら、

    何となく視線が自分に向けられるのを感じながら、房一は案外に落ちついていた。予期した通りだつた。房一の腹の中はきまつていた。

    我々はそれから「き」の字橋まで口をきかずに歩いて行ゆきました。……

    「――?」

    「それで、何かね。ドイツ兵は徒歩てくで通るんかね」

    そのとき、女房に命じて、温泉を加熱する装置を施してもいいか、ときかせると、

    だが、急に機嫌をとり直した。そして、徳次が彼の口から聞くことでどんな表情になるかを期待しながら、ゆつくり相手の顔を見て云つた。

    「お噂はうけたまはつています」

    「先代がぽつくり死にましてね。おかげでこんな所へ引つこむやうになつてしまつたんですが」

    練吉は一人で感心し、それでも足りないと見えて、房一に呼びかけた。

    「ありがたう。――あ、大きいね」

    「やあ」

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